本記事の要旨
・おカネの流れ図
・政府貨幣の中央銀行買取り
・おカネの発生のまとめ
おカネの流れ図
本記事は「おカネの流れ:その1」の続きです。政府貨幣(公共貨幣)
歴史的には銀行中心の【債務通貨システム】(部分準備制度)以前から存在しています。
日本の【政府貨幣】としては「日本国」と刻印された硬貨が流通していますが、「日本国」と印字された紙幣は流通していない(流通しているのは日銀発行の「日本銀行券」)等、現在はいくらかの制限がかけられています。
政府貨幣 |
市中銀行が発行する預金通貨と政府が発行する【政府貨幣】には、債務(借金)としておカネを発生させるかそうでないかの違いがあります。
【政府貨幣】のことを債務ではないという性質から無利子貨幣、銀行が創造する私的貨幣との対比として公共貨幣と呼ぶこともあります。
政府貨幣の中央銀行引き受け
【政府貨幣】を政府が発行して、それを中央銀行が【中銀引受】で買い取った代金を【公的支出】に使うことです。【政府貨幣】を流通させることなく財源とする事ができます。
【政府貨幣】を預かる代金として中央銀行はおカネを発行して払い、それを政府が【公的支出】に使います。
政府貨幣の中央銀行買い取り |
【政府貨幣】の【中銀引受】も国債の【中銀引受】と同様、【債務通貨システム】を通して無利子でおカネを発生させます。
おカネの発行のまとめ
前回の「おカネの流れ:その1」と今回(その2)で、おカネが発生したり消滅したりすることについて一通り触れてきました。現在は【債務通貨システム】(部分準備制度)なので、政府や民間が銀行から借金(【国債発行】と【民間借入】)をするとその瞬間におカネが発生(信用創造)して、借金を返済すると消滅(信用破壊)するようになっています。
利付債務としておカネが発生すると【利払い】が発生します。
【利払い】を回避できるのは、国債を中央銀行が引き受ける場合と【政府貨幣】を根拠におカネを発生させる場合が考えられます。
こうして発生したおカネは、【民間借入】や【公的支出】を通して市中へ注がれます。
(本記事はその3へ続きます。)
参考書籍
のらねこま『金融緩和の天国と地獄:改訂版』(2017)
山口薫『公共貨幣』(東洋経済新報社,2015)