2019年12月15日日曜日

帳幣



帳幣という言葉があるようです。読みは「ちょうへい」かと思います。私がこの言葉を見たのは、スイスのソブリンマネーに関する国民投票に関係した資料を読んでいた時だったと記憶しています。それ以外は見たことがありませんし、辞書にも載っていませんが、大事な視点だと思うので取り上げます。

帳幣とは何でしょうか。紙幣は紙のおカネ、硬貨は硬いモノのおカネです。その法則に従えば、帳幣は帳ですから帳簿のおカネということになるでしょうか。現在の銀行口座のようなおカネは、電子台帳による帳幣と言えるかと思います。帳簿に書かれた数字を硬貨や紙幣などと同等のおカネと呼んでいいのでしょうか。結論から言えばいいと考えています。

そもそもおカネとは何でしょうか。貨幣という言葉は、成り立ちから見ると貝と布を指すそうです。紙幣や硬貨もそのように解釈すると紙と布、硬い貝です。しかしこれらの言葉は物質的な対象をそのまま意味するだけでは勿論ありません。数(単位・尺度)や権利といった情報をも意味します。

硬貨や紙幣にしろ台帳にしろ、請求権の保有や移動といった状態を表現する道具と考えます。10円玉の所有権が移動しようと、帳簿上で10円が移動しようと、通貨システム的には同じ事実です。硬貨や紙幣は所有権の移動によって請求権の保有や移動を表しますし、帳幣は帳簿上で同じことを表すと考えます。どのような形を選ぶかは使い勝手や保安を考慮すると思います。