2022年3月8日火曜日

バブル経済のしくみ

 部分準備制度を採用している社会は大きなバブルとバブル崩壊を繰り返します。有名なもので20世紀前半の世界恐慌、20世紀後半の日本バブル崩壊、比較的最近ではリーマンショックなどがあります。金本位制から管理通貨制度に移行しましたが、基本的なしくみは変わりません。今後もなにかしら起きると思われます。

 バブルは金融という遠い問題に思われるかもしれませんが、社会を循環するおカネが増えたり減ったりすることで、人間の社会活動に影響をもたらします。分配におカネを用いる貨幣経済ですから、おカネが少ないと貧困など社会機能不全になります。

 

 バブルが巨大化する理由は、おカネを発行するのに必要な担保資産の価値が膨らむからです。そもそも、現行社会システムで使えるおカネを発行するとは、誰かが市中銀行からおカネを借りることです。おカネを借りるには不動産や株式、債権といった担保資産が必要です。政府が借り入れる場合は国債を発行しています。

 市中銀行から発行された(借りた)おカネを使うことで担保資産の価値が上がると、新たに借りることが出来ます。そうすると社会を循環するおカネの量も増えます。このとき、担保資産の価値と債務(おカネ)の量はおおむね釣り合っています。しかし、なにかのきっかけで担保資産の価値が下がり、債務が担保資産の価値を上回ると、銀行は取り立てに走り、債務者は資産を返済に当てることになります。その売却行為がさらに担保資産価値を下げ、バブルは連鎖的に崩壊していきます。

 現行社会システムでは債務の量がおカネの量ですから、返済に伴っておカネがどんどん消え、通貨循環量の低下による社会機能不全に陥ります。何か買うよりおカネとして持っておくほうがいい状態になります。この状態が金融ショックと呼ばれています。身体でいう出血性ショックのようなものと理解していいのではないかと思います。 


 ショック状態になると社会の血たる通貨はとっても希少なように思えてきますが、実態は使うべき場面で使えなくなったのであり、正常な状態ではなくなっただけのことです。貧血でフラフラの人に対して、今残っている血は貴重だと言って何か解決するでしょうか。造血増進など対策を取らなければなりません。

 バブル崩壊に関係した担保資産は主に、20世紀前半の世界恐慌は株券、20世紀後半の日本バブル崩壊は不動産、リーマンショックは低所得者向けローンの債権だったと言われます。

 

 不況の原因が全てバブルにあるというわけではないと思います。技術的失業への無策などもあるからです。

 現行システムで債務の量はおカネの量なので、市中銀行に対する政府と企業と家計の債務を合わせると、おカネの量と同じになります。ですから、現行システムで企業や家計が黒字経営でいるためには、政府が市中銀行からおカネを借りて赤字になって、公共支出として企業や家計におカネを流してやるしかありません。

 政府が赤字はダメとして財政均衡に拘ると、企業も家計も債務負担が膨らむ一方で機能不全を起こします。締め付ければ、貯蓄の猶予がなかった若者から命を失います。若年層の自殺が多いみたいですが、所得が増えればある程度軽減すると思います。

 個人的には、政府がそこまで赤字を避けたいのなら今の通貨発行システム自体を改め、政府通貨なり公共貨幣なり移行したらどうかと思っています。それだけではなく、ベーシックインカムのように技術的失業への対策も通貨改革に組み込むべきだと思います。