2022年5月7日土曜日

国民が支出を増やさない理由

国民が支出を増やさない理由について考えます。

 

生産性向上という題目とは裏腹に、実際に不足しているのは消費という現状はご存知だと思います。

だからなんとかして莫大な貯蓄(預金)を吐き出させて通貨を循環させようとしているのでしょうか、一国の首相が投資を推奨しているという情報を見ました。足りないのは生産力という話ではなかったのでしょうか?

国民が貯蓄を支出に回さない理由は、収入が無いか小さいからと考えられます。貯蓄があっても見通しとして収入が小さいなら、限りなく支出は絞られます。例えば貯蓄が1000万円あったとます。月収入が10万円と30万円で支出の計画は同じになるでしょうか。おそらく月収入が少なければ少ないほど支出も絞るという人が多いのではないでしょうか。貯蓄額はあまり関係ないと思われます。

国は収入問題を半ば無視し、国民の多くも収入が小さいことは自身の市場価値を高める努力が足りない故の自己責任と考えてきました。しかし、過労死などが問題になるほど頑張っても、未婚増加・人口減少など収入減少による問題は深刻さを増す一方です。

収入が減る理由の一つは技術的失業です。つまり自動化するから収入を失います。収入が小さくなれば支出を抑えることになります。

労働者にとっては、社会情勢がどうであれ求人に応募して人混みで競争するのが日常です。だから誰もいない職場でものが作られるというのはピンとこないかもしれません。でも観察や想像をはたらかせれば、無人で商品が生産されることは不自然ではないことがわかります。

よくよく考えれば普段の生活でも、昔なら何人もの労働者がこなしてきた家事等を家電で代用していることに気づけると思います。水道は水くみを不要とし、洗濯機は洗濯婦から、炊飯器は飯炊き係から、掃除機は掃除婦から職を取り上げました。人力車や飛脚は自動車に代わったでしょう。ドライバーも自動化されてきています。技術発展とは失業の歴史です。市場価値によってのみ人間に生きることを許す社会に現界が来ています。技術によって人間は市場価値を失うからです。

ザ・メイキングという番組では、少し古いですが自動化された生産工程を見られますので、公式HPなどでぜひご覧になってください。「ああこれが労働者を失業させてくれたんだな」と思って観てください。他人事ではなく自分事として観てください。失業させる自動機械が悪いのではなく、正しい分配システムを作らない私たち自身が悪いのです。

支出を増やすにはどうするか、今までの話から見えてきます。支出を増やすには相応に収入を増やす必要があります。収入を増やすにも、技術によって市場価値を下げ続けている人々は労賃を十分に稼げません。究極的にはすべての人々が自動化によって失業します。自動生産される商品を注文するためには、労賃ではない給付が必要です。つまり、ベーシックインカムをやればいいということになります。財源は自動生産設備です。