2019年1月8日火曜日

これまでのまとめ



  • おカネは情報システム
  • 足りないのは購買力か、商品か
  • 通貨制度を変える必要性



おカネは情報システム


 おカネは請求権の権利情報システムと私は考えます。コインや紙幣、台帳、電子信号も権利情報を実現し管理する手段の一つに過ぎないと考えられます。おカネは循環しながら、その流れと逆方向に商品を移動させることで分配を実現します。おカネが回らなければ商品も回りませんし、商品供給が間に合わなければおカネをそれ以上回しても意味はありません。とりあえず、おカネと商品供給の2つを合わせて経済システムと考えればいいのではないかと思っています。


足りないのは購買力か、商品か


 貧困や不況といった問題の要因は、現状に関しては供給力不足ではなく購買力不足と考えられます。現状を供給力不足とした場合、貴重なはずの商品や労働力が買い叩かれ、容易に使い潰されるのは矛盾していると思います。こうしたことが起こるのは、購買力不足によって厳しい費用削減を迫られる状況だからではないかと考えます。ですから基本的な方針は購買力の補填であり、これを供給力の強化より優先することになります。

 供給力を強化しても、購買力が不十分であれば分配は購買力に制限されます。産業革命期では生産技術が飛躍的に発達したにもかかわらず、人件費が急縮小したために貧民窟を大量発生させたと考えられます。また金融恐慌では担保資産価値の急落によって民間銀行への債務(今の制度では通貨とイコール)が大量に消えることが、やはり倒産や失業・貧困の主要因になると考えられます。

 需給バランスをあまり意識したことが無い人でも、現状で「貧困等の問題は(自分の商品価値を高めるよう)努力しなかった自己責任」と言うことに対してその通りだと思うなら、逆説的に供給力不足という見方を採用していることになるかと思います。なぜなら購買力ではなく供給能力(特に労働力)の不足に貧困や不況の原因を求めているからです。現状を購買力不足と見れば「おカネを発行して配ろう」とか「通貨制度を見直して変えよう」といった結論になるかと思います。



通貨制度を変える必要性


 おカネの流れをどう変えるかを図で確認します。購買力異常を解決するために必要なことを2枚の図で表しました。下のようになっているものを...


現況


こうすればいい(下の2枚目の図)と考えられます。



変更



 1枚目から2枚目への変更内容は、債務による発行の全面撤廃とベーシックインカムによる購買力の補填です。こうすればいいと考える理由を説明します。

通貨発行による利子と金融ショックのリスクを排除する


 債務による発行の撤廃ですが、これによりおカネの発行と同時に発生する利子と、金融ショックのリスクが排除されると考えられます。今の制度ではおカネは民間銀行への借金として存在しますが、利子分のおカネは発生しません。期日が来る度に通貨量を維持したまま利子分を払うには、利子分を新たに借り入れる必要があります。これは複利であり、元本は雪だるま式に増えます。全ての通貨を返済・消滅させても債務は残りますが、その分は担保を回収すると考えられます。

 また全てのおカネが債務に裏付けられる(担保の資産価値次第になる)ことで担保資産への投機が容易になり、暴落すれば債務返済により通貨量も減少します。このような世界経済を揺るがす金融恐慌は、システムが変わらなければこれからも起こると考えられます。1枚目の左上のセクションがおカネを借金として発行させるシステムですが、2枚目の通り無くても問題はないと考えられます。元々の通貨発行権とは別のものだからです。

購買力不足を直接給付で補う


 消費者への直接給付は技術的失業(技術進歩に伴う人件費の縮小)による購買力低下に対応します。技術的失業の流れは不可逆で不可避なのは歴史を見れば瞭然ですから、技術を否定するのではなく、供給可能な商品をいかに市場を通して分配するかということを考えます。そのためには単純に請求権を発行するなどして、購買力と商品供給力のバランスを保つように消費者に直接供給すればいいと考えられます。図では公的支出から個人消費まで、直通の通貨供給ルートである「ベーシックインカム」を設置します。



動画紹介

 
 最後にベーシックインカムを説明した動画を紹介します。