最後まで読んだら、また図を見ていただきたいです。
①例えば複数の生産現場があり、
②一部で技術的失業が起きたとします。
③すると現状、労賃以外の通貨収入がないため、自動化されていない現場で労賃を求めて労働供給の過剰が起きます。
④使えるおカネは変わらないため競争が激化し、低労賃化が起きます。
なぜ人手不足かというのも、④で使えるおカネが変わらないということがあると私は考えています。
つまりおカネ不足が原因です。
これを無視している人は、労働者の努力不足だとか商品価値の問題としか言わないわけですね。
消費者も生産過剰の問題を無視して企業努力の不足としか言わない人が多いので、そのあたりはお互い様かもしれませんが。
ワーキングプアもこうした労働供給過剰の影響があると考えられます。
この図では、④の時点で労働者Aと労働者Bが受け取れるのは生産Bの分だけです。
生産Bだけを請求できるのではなく、生産Aも請求できるけど合計すると生産Bと同程度しか請求できないということです。
もし生産Aと生産Bが競合他社で、④の状態で労働者Aと労働者Bが生産Aの商品を買ったとしたら、生産Bのおカネが減るのでそれも低労賃圧力になります。
実際、手作りかどうかなんて気にせず安い方を買っている人が多いと思います。
で、安い方は大抵、無人化が進んだ方です。
自分は労賃をもらうけど、払うのは労賃が発生しない工程で作られた商品ということです。
④の労働者Aと労働者Bが生産Bで稼いだおカネで生産Aを請求する状態です。
普通に買い物をした結果、遠回りに自分の労賃を下げていると考えられます。
もちろん考えて買い物するのが悪いはずもなく、問題は労賃しか購買力が無い通貨システムです。
新しい雇用が創出される、それが本当だろうと嘘だろうと関係なくて、図を見て分かる通り自動生産分の未分配は放置されたままなので、労働供給過剰を根本から解決するものではないです。
だから、それを解決策とか明るい未来の鍵みたいに言うのは正直ズレていると私は思います。
とにかく国民は皆労働しなきゃいけないという強迫観念を持っているか、労働力を少ないおカネで買い叩けなくなるから困ると考える人は、BIを否定するのでしょう。
経営が心配な人については、BIがあれば十分におカネが回るようになると考えられるので大丈夫だと思います。
ただ本当に競争力が低くて成功の可能性もない、そういう場合は撤退したほうがいいと思います。
ダメでもBIで再チャレンジしやすくなりますし、どんな分野で成功するかなんてわからないのですから。
ズルする人を傷つける萎縮するそんなの馬鹿らしい、素直や思いやり挑戦そして笑顔は素晴らしい、そういう社会になってほしいです。
皆労働していなきゃいけない、どんな場合でも拒否は許されないというのは、合理的根拠のない強迫観念だと思います。
商品価値が無ければ生きてはいけないというような思想の果てに、例えば養護施設で大量殺人をするとかの事件があると思うのです。
そういう思想は、単に労賃が無ければ生活できないというだけの仕様の社会システムを、自然と同じく正しいものとして受け取ることによって生まれるのではないでしょうか。
だから後付で正当化しようとしてもおかしなことや恫喝しか言えない。
これこそゲーム脳と言うんじゃないのかなと思ったりします。
もし生産力が決定的に足りない場合は、BIの減額や増税などで抑制が必要です。
BIの導入は需給ギャップの解消が目的だから、ただ何の制限もなく増やしていけばいいというわけでは無いです。
あまりに購買力不足の問題が無視されているから話がおカネを増やすことに偏らざるを得ませんが、生産力あっての分配です。
④の低労賃化で過重労働も起きますが、労働負担を下げるために新技術を導入するとかは、それはもう自動化であって失業です。
楽するというのはそういうことです。
良いパソコンに替えて処理速度が上がったとしても、脳みそが構造からして進化したわけではないでしょう。
生産力は大きくなりますが、労働者が必要な理由は小さくなるのです。