2017年7月13日木曜日

デフレの影響:給料

本記事の要旨


・デフレの影響で給料が安い
・自動生産技術が味方になるかはBI次第
・BIが労働を助ける
・通貨発行によるBI導入へ働きかける必要


デフレで苦しむ賃金労働者

ここでいう給料は企業単位・個人単位に限らず、経済で払われる人件費全体のことです。
給料が上がらなかったり下がっていくことは、通貨発行と通貨分配不足によって需要(購買)が不足するために起きることだと考えられます。

財やサービスを十分供給する能力があっても、消費者全体の通貨不足(需要不足)によって十分に財やサービスが届かない現象をデフレと言います。

生産能力が需要に比べて過剰ということは労働市場では人が余る状態なので、大なり小なり労働力の買い叩き(ワーキングプア)や劣悪な労働環境(ブラック労働)へ遭遇することになります。

売上を上げるには消費者の手元に通貨が十分に分配されてる必要があります。
消費者が十分な通貨を持っていなければ、企業は売上が上がらないので給料を上げることもできません。
今のシステムでは賃金労働者が消費者でもあるため、給料が上がらなければ消費者の通貨も増えず売上も上がりません。
この流れにいくつか問題があると思います。
  • 消費者は賃金労働契約でしか通貨(おカネ)を入手できない
  • 富の生産に労働が寄与する部分が少なくなってきている
  • 通貨の発行と分配が生産能力に対して充分でない(デフレ)
  • 賃金労働は通貨発行と関係しない
賃金労働者の待遇を改善するには賃金労働から一旦離れ、通貨の発行と分配の問題にアプローチして十分に通貨供給をする必要があると考えられます。
私は通貨発行によるベーシックインカム(BI)が施策として適していると思います。

自動生産技術が味方になるかはBI次第

先述した問題のうち、富の生産に労働が寄与する部分が少なくなってきているという問題に関わりますが、自動生産技術(特に人工知能分野)が無視できない発達をしているという話題があります。
日本では10年か20年で労働人口の5割が機械に代替可能になるという試算もあるそうです。

AIが管理する無人工場の設置に向けて世界的に産業界が動いているという報道も確認できます。
実際の運用の細かいところはわかりませんが、少なくとも人件費は従来に比べて相対的に縮小していくと考えられます。

生産性の向上によって生産に人が不要になっていきますから、起きるのは労働者不足ではなく労働者余りです。
こうした技術的失業と呼ばれる働きによっても賃金は低下圧力を受けると考えられます。

こうした問題に対して無為無策なら、生産能力が増大する一方で分配だけが不足するデフレ状態が深刻化し、今以上の貧困が確実にやってくると考えられます。
賃金によらない通貨発行・通貨分配(ヘリマネ・BI)を実現できれば安定した経済が実現出来ると思います。

ベーシックインカムが労働を助ける

通貨入手を賃金労働契約だけに依存せず安定させるシステムとして、また需要を底上げする政策としてベーシックインカム(国民配当)が適当だと考えられます。

税負担などは基本的に必要ないと考えられます。
財源としてデフレギャップ(生産能力と需要の差)が埋まるまで純粋通貨発行すればいいからです。

ただでおカネをもらったら働かなくなると言われることのあるBIですが、働きたいか働きたくないかに関わらず利点が多いと考えられます。
例えば以下のようなものです。
  • 無条件収入が保障されることで多くの人は無理に働く必要がなくなる
  • 労賃契約を結んで稼ぎたい人にとっては他の労働者との競争が緩和されいい条件を取りやすい
  • 労働してもしなくてもいいという自由によって雇用主と対等な契約交渉が可能になる
  • BIによって需要が増大し売上が上がるので賃金も上がる
他にも利点が想像できます。
賃金労働≒生活が現代人のスタイルだとすれば、こうした変化は生活全般へ伝播すると考えられるからです。
  • 好きなだけ家族や友人との時間が取れる
  • 子供をサービス等に預ける余裕ができるので子育て負担を分散できる
  • 無理に大きいストレスに向かわなくていいので心身が健康的に
  • おカネや時間に余裕が出来て趣味に没頭できる
  • 収益性にこだわる必要が小さくなりボランティア活動等の幅が広がる
働きたい人にとってもそうでない人にも、今以上に心地が良いのではないかと私は思います。
基本的に自由度が高まりやりたいことがやれるようになると見ることが出来ると思います。
生活のための賃金労働から開放されて、純粋に自分の満足のためとか誰かの役に立ちたいとかの動機で行われる労働が標準的になるかもしれません。

昔の日本で元禄改鋳という事実上の需要増大政策が行われたそうですが、この時の芸術・学問・生活等の発展は元禄文化として高く評価されています。
BIはこうした文化を継続的に支えることになると考えられます。

産業界は元々生産性の向上が使命のようなところがあるので、雇用など深く考えずに技術研究や生産能力の増大に邁進できると考えられます。

通貨発行によるBI導入へ働きかける必要

収入は基本的に賃金労働契約であるべきだと考える世論の傾向は未だ強いと思います。
実際にそうして生活している人がほとんどだからです。
一方で真面目に賃金労働に従事していても生活が苦しくなる一方だと感じる人も多いのではないでしょうか。

それはデフレの影響だと考えられます。
現在は需要に対して生産能力が過剰で人手余りです。
それが給料が上がらない主要因だと考えられます。
デフレによる貧困が今現在多くの人が苦しみとして直面している問題だと思います。

デフレは通貨の発行と分配の不足から起きますから、解決には労働から一旦離れて通貨発行システムに働きかける必要があると思います。
現在の仕組みでは通貨は発行システムによって発行され、経済活動に使われる中で企業が売上げ、労働力や成果と引き換えに賃金を渡すという賃金契約によって労働者の手元に流れてきます。

この流れで通貨量を増やす事ができるとしたら発行段階です。
生産物を売上げたり賃金を得るというやり取りの中に流通通貨量が増える要素はほぼありません。
ですから通貨発行が必要です。

賃金も自動生産技術等によって下落圧力が強まっていく状態です。
賃金が消費を制限してしまえば売上も減ると考えられます。
ですから消費を支えるBIが必要です。

初めは月1万円など少額から開始し、実際の影響を見ながら増額していくのがいいかもしれません。
少額であっても導入されればその効果がたちまち理解されるのではないでしょうか。