2021年1月8日金曜日

国民配当ときつい仕事

嫌なことを断れない社会は正しいか

「BI(国民配当)をしたら、きつい仕事を誰もしなくなる」

こういう主張がありますが、私はBI(国民配当)をしたら、きつい仕事への報酬や設備投資が増えると考えます。また、技術の発達が著しいため、生産性の問題はあまり心配する必要はないように思います。つまり、きつい仕事をしたくなければしなくても問題ありません。

 

国民配当の効果:購買力の増加

自動化による過剰供給力と、技術的失業によって無収入化してしまう問題への解決策が国民配当です。社会に積み上がった技術遺産によって生まれる過剰供給力を分配するため、国民配当が社会システムに組み込まれると購買力が増えます。これは国民配当が既存の分配システムと異なる重要な点です。

  • 労働者の収入   ⬅ 🌟国民配当+💦労賃
  • 非労働者の収入 ⬅ 🌟国民配当

請求対象はこうなります。無秩序に購買力を拡大するということではありません。

  • 労働者の請求   ➨ 🌟自動化の成果+💦労働の成果
  • 非労働者の請求 ➨ 🌟自動化の成果

社会を循環するおカネが増えると企業の売上も増え、仕事への報酬や投資といった問題解決のために使えるおカネが増えると考えられます。

 

国民配当の効果:労働供給過剰の解消

現在の労働市場における供給過剰は国民配当によって解消され、報酬水準は適正範囲になっていくと考えられます。

  • 過小な労賃 ⬅ 人件費<労働供給(過剰) ⬅ 💀逃げ場がない(現状)
  • 適正な労賃 ⬅ 人件費=労働供給(適正) ➨ 🌟拒否権限(国民配当)

上記の過小な労賃の構造は現在の労働環境のものです。働かないとおカネがもらえないシステムでは、労働供給は常に過剰な状態に陥り、労賃の単価も下がります。そうやって困窮させておけば安く人をコキ使えるとか支配出来るのではないかと目論む考えもありえます。

現在の労働者が購買力を得る手段は労賃だけである一方、企業は購買力の使いみちとして労賃と設備投資の選択肢があります。労働者が理不尽であっても耐えるしかない一方、企業は自動化への投資というカードを出すことで、生産性と労働問題、そして競争力の問題は解決できたと主張できます。実際、自動化によって生産性や競争力の意味では解決していると言えます。高い生産性を実現するのは、労働力というよりは技術力だからです。

 

労働市場の縮小

国民配当によって労働供給が絶対的に不足するとまでいかないと考えるのは、労働が禁じられるわけではないから、そしてテクノロジーによって今後も労働需要が縮小していくと考えられるからです。

日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(野村総合研究所)

ttps://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf

こちらを読んだことがなければ、すぐ読み終わるので一度は読むことをおすすめします。49%という数字が驚異的なのは、「業務全てを高い確率(66%以上)でコンピューターが代わりに遂行できる」という基準で試算しているためです。業務の一部ではなく全てとのことなので、残り51%も程度に差こそあれ部分的には置き換わっていく可能性があります。あくまで「代替可能」という話ですが、自動化コストが下がれば下がるほど、代替や労賃の値切りが進むのは避けられないと考えられます。

 

労働市場の外の社会や世界

国民配当があるシステムでは、活躍する人は本当に才能ややる気があるのでしょうし、誰もやりたがらないきつい仕事には相応の報酬があって、報われやすいのではないでしょうか。自動機械に生活を支えてもらうことでチャレンジングの機会が増え、予想外な人が一線級で活躍するかもしれません。

人間は労働市場の物差しでのみ評価されるものではありません。労働市場だけが人生のフィールドではありません。国民配当でおカネから支配される社会を抜け出し、学天則を実現していきましょう。


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